ファクタリングは、16世紀のイギリスで生まれ、イギリスの商人が新しいアメリカ大陸の植民地と交易するにあたって利用したといわれ、その後アメリカで発展した金融手法で、欧米では特に中小企業向け金融の分野で一般的に利用されています。
ファクタリングは、18世紀から19世紀にかけては、アメリカ移住者に対して、特に多かったイギリスからの輸入物資である毛織物の売買手段として利用されました。
ファクターはどちらかといえば繊維製品製造業者のエージェントとしての役割を果たし、委託された製品の保管および販売を担当していました。
ファクターは、製品を販売する以前に製造業者に代金の支払いを行うために、製品の買い手の信用調査をし、製造業者の独立した販売部門(商社)としての役割を果たしていたわけです。
19世紀の中頃になって、イギリスがアメリカに対して毛織物製品を大量に輸出するに際し、ファクターは、イギリスの毛織物業者にとっての販売代理店(セールス・エージェント)であるとともに、売掛債権に基づいて、代金の前渡金融を実施することになりました。
20世紀になると、ヨーロッパからアメリカヘの繊維製品の輸出は低調となったため、販売代理店機能はなくなり、ファクターは資金提供と信用調査の機能に特化するようになり、現在のファクターに変身しました。
1965年頃になると、多くのアメリカ系ファクターがイギリス・フランス・西ドイツなどに支店を開設することにより、ファクタリングサービスが再びヨーロッパに積極的に展開されることになります。
そして、ファクタリング業務が、その活動範囲を地理的に拡大しただけでなく、その業務サービスの提供範囲を繊維製品産業以外の産業にも拡大することになりました。
今日では、ファクタリングは国境の制約はほとんどなくなり、多くの東ヨーロッパ諸国においても利用できる状況になり、特に環太平洋諸国においても顕著な発展を見せています。
ブラジル・インド・インドネシアといった主要な発展途上諸国においては、政府がファクター設立に関与しています。
ファクタリングの起源が国際貿易にあったとはいうものの、近代的なファクタリングは、クライアント(メーカー)が顧客に販売した売上債権をファクターが債還請求権なしにその債権を買い取る信用保証と金融機能を発揮することにより完成しました。
ファクタリング業務は、大きく国内取引と国際取引の2つがあります。